「リゾートバイトって短期だし、社会保険は関係ないよね?」と思っているあなた。
実は、リゾートバイトでも条件を満たせば社会保険への加入は法律で定められた義務です。
「どんな条件だと加入が必要なの?」「保険料はいくら引かれる?」「扶養内で働きたいんだけど…」そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、リゾートバイトの社会保険について、加入条件から手続き、メリット・デメリットまで、ワングランピング編集部が徹底的に解説します。
【結論】リゾートバイトでも社会保険の加入義務はある!
結論から言うと、たとえリゾートバイトのような短期・単発のイメージが強い働き方であっても、法律で定められた条件を満たせば社会保険への加入が必須となります。
これは派遣社員やアルバイトといった雇用形態に関わらず、すべての労働者に適用されるルールです。
知らずにいると、後から手続きが必要になったり、受けられるはずの保障を逃してしまったりすることも。
まずは「自分は加入対象になるのか?」を正しく理解することが大切です。

「短期だから関係ない」は大きな間違いバラ!自分の働き方が加入条件に当てはまるか、この記事でしっかり確認していこう!
そもそも社会保険とは?5つの種類を解説
「社会保険」とひとことで言っても、実は5つの異なる保険の総称だということをご存知でしたか?
私たちの生活を様々なリスクから守ってくれる、大切なセーフティーネットです。
それぞれがどんな役割を持っているのか、まずは全体像を掴んでおきましょう。
保険の種類 | 主な役割 |
---|---|
健康保険 | 病気やケガをした時の医療費負担を軽減してくれる |
厚生年金保険 | 将来もらえる年金や、障害・死亡時の保障を厚くする |
雇用保険 | 失業した時や育児・介護で休業する時に給付金がもらえる |
労災保険 | 仕事中や通勤中のケガ・病気・事故などを保障してくれる |
介護保険 | 40歳以上の人が加入。介護が必要になった時にサービスを受けられる |
これらの保険に加入することで、万が一の時に経済的なサポートを受けられるようになっています。
健康保険
健康保険は、病気やケガで病院にかかった際の医療費の自己負担額を、原則3割に軽減してくれる制度です。
風邪をひいてしまった時や、思わぬ事故でケガをした時など、誰もがお世話になる最も身近な社会保険と言えるでしょう。
厚生年金保険
厚生年金保険は、すべての国民が加入する国民年金に上乗せして支給される公的年金制度です。
加入することで、将来受け取れる老齢年金の額が増えるだけでなく、障害を負ってしまった場合の「障害年金」や、万が一亡くなってしまった場合に遺族が受け取れる「遺族年金」の保障も手厚くなります。
雇用保険
雇用保険は、失業して次の仕事を探す間の生活を支える「失業給付(基本手当)」や、育児や介護のために仕事を休業する際の「育児休業給付」「介護休業給付」などを受けられる制度です。
働く意欲と能力がありながらも働けない状況になった時に、安心して次のステップに進むためのサポートをしてくれます。
労災保険
労災保険(労働者災害補償保険)は、勤務中や通勤の途中で起きたケガ、病気、障害、あるいは死亡した場合に、労働者やその家族を保護するための保険です。
保険料は全額事業主が負担するのが特徴で、雇用形態にかかわらず、すべての労働者が対象となります。
介護保険
介護保険は、40歳になると自動的に加入が義務付けられる保険です。
将来、加齢によって介護が必要な状態になった時に、費用の一部を負担するだけで様々な介護サービスを利用できる仕組みになっています。



社会保険は、僕たちの「もしも」の時を支えてくれる大切なお守りのようなものなんだバラ!
リゾートバイトの社会保険加入条件をチェック
では、具体的にどのような条件を満たすと、リゾートバイトでも社会保険への加入が必要になるのでしょうか?
以下の4つの条件をすべて満たす場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入義務が発生します。
自分に当てはまるか、一つずつチェックしてみましょう。
雇用期間が2ヶ月を超える見込みがある
最初の条件は雇用期間です。
当初の契約期間が2ヶ月を超える場合は、もちろん加入対象となります。
注意したいのが、「2ヶ月以内の契約」で働き始めるケースです。
契約書に「契約を更新する場合がある」と記載されていたり、同じ派遣会社・勤務先で同様の契約の人が2ヶ月を超えて働いていたりすると、「2ヶ月を超えて雇用される見込みがある」と判断され、働き始めた初日から社会保険の加入対象となります。
週の労働時間が20時間以上
契約上の1週間の労働時間(所定労働時間)が20時間以上であることも条件の一つです。
リゾートバイトはフルタイム勤務の求人が多いため、ほとんどの場合この条件に当てはまるでしょう。
なお、この時間に残業時間は含まれません。
月額の賃金が8.8万円以上
月々の給料が88,000円以上であることも条件に含まれます。
年収に換算すると約106万円となり、これが「106万円の壁」と呼ばれるものの一つです。
注意点として、この賃金には残業代や交通費、ボーナスなどは含まれません。
学生ではない(夜間・通信・休学中は除く)
原則として、大学や高校などに通う学生は社会保険の加入対象外です。
ただし、夜間大学や通信制の学校に通っている場合や、現在休学中の場合は加入対象となるため、自分の状況を派遣会社に正しく伝えましょう。



最初は2ヶ月未満の契約でも、更新したら加入対象になるんですね!



その通り!「更新の可能性がある」とされている契約も対象になるから、派遣会社にしっかり確認するのが大切バラ!
給料からいくら引かれる?社会保険料の計算方法と月収別シミュレーション
社会保険に加入すると、毎月の給料から保険料が天引きされます。
「一体いくら引かれるの?」と不安に思う方もいるかもしれません。
ここでは、社会保険料の計算方法と、具体的な月収例でのシミュレーションを見ていきましょう。
社会保険料の計算方法
健康保険料と厚生年金保険料は、給与や手当などを合計した月々の報酬を一定の範囲で区切った「標準報酬月額」を基に計算されます。
計算式は以下の通りです。
毎月の保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率
算出された保険料は、勤務先(派遣会社)と自分で半分ずつ負担します(労使折半)。
つまり、実際に給料から引かれるのは計算された金額の半額です。
なお、健康保険料率は加入する健康保険組合や都道府県によって異なりますが、厚生年金保険料率は全国一律です。
雇用保険料は、毎月の総支給額に雇用保険料率を掛けて計算されます。
【月収20万円の場合】社会保険料のシミュレーション
では、実際に月収20万円でリゾートバイトをした場合の社会保険料はいくらになるのでしょうか。
あくまで一例としてシミュレーションしてみましょう。
【前提条件】
- 勤務地:東京都
- 年齢:29歳(介護保険料の負担なし)
- 月収(交通費などを含まない):200,000円
- 標準報酬月額:200,000円(17等級)
保険の種類 | 保険料率(全体) | 全体の保険料 | 自己負担額 |
---|---|---|---|
健康保険料 | 9.98% | 19,960円 | 9,980円 |
厚生年金保険料 | 18.3% | 36,600円 | 18,300円 |
雇用保険料 | 1.55% | 3,100円 | 1,500円 |
合計 | 約29,780円 |
※保険料率は加入する健康保険組合や都道府県、年度によって異なります。実際の金額とは異なる場合があります。
この場合、月収20万円から約3万円が社会保険料として天引きされ、手取り額は約17万円になる計算です。



給料の全額がもらえるわけではないのですね。事前にシミュレーションしておくと安心です。



そうだね!手取り額がイメージできると、現地での生活費の計画も立てやすくなるバラ!
社会保険に加入するメリットと注意点
給料から保険料が引かれると聞くと、デメリットばかりに感じてしまうかもしれません。
しかし、社会保険への加入には、手取りが減るという注意点を上回る大きなメリットがあります。
メリット1:将来もらえる年金額が増える
社会保険に加入する最大のメリットの一つは、将来受け取れる年金額が増えることです。
厚生年金保険に加入することで、全国民共通の「国民年金(基礎年金)」に加えて「厚生年金」が上乗せされます。
働いて保険料を納めた期間が長ければ長いほど、老後の年金が手厚くなる仕組みです。
メリット2:病気やケガをした時の手厚い保障がある
健康保険に加入していると、国民健康保険にはない手厚い保障を受けられます。
その代表が「傷病手当金」です。
傷病手当金とは、病気やケガで連続して3日を超えて仕事を休み、給与が支払われない場合に、4日目から最長1年6ヶ月間にわたって給与のおおよそ3分の2が支給される制度です。
リゾートバイト中に思わぬ病気やケガで長期間働けなくなってしまっても、収入が完全に途絶える心配がありません。
注意点:手取り額が減り、扶養から外れる場合がある
一方で、注意点も理解しておく必要があります。
前述の通り、社会保険料が給料から天引きされるため、額面上の給与よりも手取り額は少なくなります。
また、親や配偶者の扶養に入ってリゾートバイトをしている方は特に注意が必要です。
社会保険の加入条件を満たすと、扶養から外れなければなりません。
これにより、自分自身で保険料を支払う必要が出てくるだけでなく、扶養していた家族の税金の負担が増えてしまう可能性もあります。



目先の手取り額は減るけど、将来の安心や万が一の保障が手に入るのが社会保険の大きな魅力なんだバラ!
扶養内で働きたい人必見!社会保険の「130万円の壁」とは
「扶養内で働きたい」と考えている方にとって、社会保険の加入は大きな問題です。
よく耳にする「130万円の壁」とは、この社会保険の扶養に関する基準のことを指します。
年間の収入が130万円以上になると、働き方に関わらず親や配偶者の社会保険の扶養から外れ、自分で保険料を納める必要が出てきます。
ただし、その手前には「106万円の壁」も存在します。
先ほど解説した社会保険の加入条件(週20時間以上、月収8.8万円以上など)を満たすと、年収が130万円未満でも勤務先の社会保険に加入することになり、扶養から外れます。
税法上の扶養(103万円の壁)との違い
扶養には、社会保険上の扶養のほかに「税法上の扶養」があり、しばしば混同されがちです。
この2つは全く別の制度なので、違いをしっかり理解しておきましょう。
社会保険上の扶養 | 税法上の扶養 | |
---|---|---|
基準額 | 130万円(または106万円) | 103万円 |
超えるとどうなる? | 自分で社会保険に加入する義務が発生。 | 本人に所得税がかかり始める。扶養者の税金(所得税・住民税)が高くなる。 |
管轄 | 年金事務所・健康保険組合 | 税務署 |
簡単に言うと、「103万円の壁」は所得税に関する壁、「130万円の壁」は社会保険に関する壁です。



扶養には税金と社会保険の2種類があるのか…複雑だなあ。
扶養から外れるとどうなる?
扶養から外れると、自分で国民健康保険と国民年金に加入するか、リゾートバイト先の社会保険に加入しなければなりません。
これにより、毎月数万円の保険料負担が発生するため、世帯全体の手取り収入が減ってしまう「働き損」の状態になる可能性があります。
扶養内で働き続けたい場合は、年収が106万円や130万円の壁を超えないように、勤務時間や期間を調整する必要があります。



扶養から外れると手取りが減ることもあるけど、長い目で見れば自分の保障が手厚くなるメリットも大きいんだ。自分のライフプランに合わせて働き方を考えるのが大事バラ!
リゾートバイトの社会保険手続きの流れ【簡単3ステップ】
「社会保険に加入するのは、手続きが面倒くさそう…」と感じるかもしれませんが、心配は無用です。
リゾートバイト(派遣)の場合、基本的な手続きは派遣会社が進めてくれるので、あなたがすることはごくわずかです。
STEP1:派遣会社に必要書類を提出する
社会保険の加入条件を満たす求人に応募し、採用が決まると、派遣会社から手続きに関する案内があります。
指示に従い、マイナンバーカードや年金手帳(基礎年金番号通知書)など、必要な情報を提出しましょう。
最近はオンラインで完結する場合も多いです。
STEP2:健康保険証を受け取る(またはマイナ保険証を登録する)
手続きが完了すると、後日、派遣会社から健康保険証が郵送されます。
ただし、手元に届くまでには少し時間がかかる場合があります。
急いで保険証が必要な場合は、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」の登録がおすすめです。
マイナ保険証なら、カード型の保険証の発行を待たずに、医療機関で保険診療を受けることができます。
STEP3:国民健康保険の脱退手続き(加入者のみ)
リゾートバイトを始める前に国民健康保険に加入していた人は、注意が必要です。
新しい社会保険(健康保険)に加入したら、自分で市区町村の役所に行き、国民健康保険の脱退手続きを行う必要があります。
手続きには、新しく交付された社会保険の健康保険証と、今まで使っていた国民健康保険証、本人確認書類などが必要になります。
保険料の二重払いを防ぐためにも、忘れずに行いましょう。



国民健康保険からの切り替えは自分で行う必要があるんだね。これは忘れちゃいけないポイントだバラ!
リゾートバイトの社会保険に関するQ&A
ここでは、リゾートバイトの社会保険に関してよく寄せられる質問にお答えします。
契約を更新して2ヶ月を超えた場合、いつから加入になりますか?
これはケースバイケースです。
契約当初から「更新の可能性がある」とされていれば、働き始めた初日から加入対象となります。
一方、当初は全く更新の予定がなかったものの、急遽契約が更新され、通算の雇用期間が2ヶ月を超えることになった場合は、その更新が決まった時点(契約が変更された時点)から加入対象となります。
リゾートバイト終了後、社会保険はどうなりますか?
リゾートバイトの契約が終了し退職すると、その翌日に社会保険の資格を喪失します。
健康保険証は派遣会社に返却する必要があります。
その後は、すぐに次の仕事に就いてその会社の社会保険に加入するか、国民健康保険に加入する、あるいは家族の扶養に入るなどの手続きが必要です。
派遣会社から「3ヶ月目からしか加入できない」と言われました…
法律では、雇用期間が2ヶ月を超える見込みがある場合、当初から社会保険の加入義務があると定められています。
もし派遣会社から「試用期間だから」「3ヶ月経たないと入れない」といった説明を受けた場合、それは適切な対応ではない可能性があります。
まずは加入条件について派遣会社に再度確認し、それでも納得のいく説明が得られない場合は、年金事務所などに相談してみましょう。
国民年金から厚生年金への切り替え手続きは必要ですか?
いいえ、自分で手続きをする必要はありません。
勤務先の社会保険に加入する際、派遣会社が厚生年金への加入手続きを行ってくれます。
その手続きが完了すると、自動的に国民年金(第1号被保険者)から厚生年金(第2号被保険者)へと切り替わる仕組みになっています。
リゾートバイトを始める前に社会保険の条件を確認しよう
今回は、リゾートバイトにおける社会保険の仕組みについて詳しく解説しました。
短期のイメージが強いリゾートバイトですが、2ヶ月を超えて働く場合には、社会保険への加入が必須となるケースがほとんどです。
手取り額が減るという側面はありますが、将来もらえる年金が増えたり、病気やケガをした際の保障が手厚くなったりと、あなたを守ってくれる心強い制度でもあります。
リゾートバイトを始める前には、求人情報で「社会保険完備」の記載を確認したり、派遣会社の担当者に加入条件を詳しく聞いたりして、自分の働き方がどうなるのかをしっかり把握しておきましょう。
ワングランピングは、あなたのリゾートバイト生活が充実したものになるよう、これからも役立つ情報をお届けしていきます!